2021年03月21日
A1223:パイプ探偵が出るまでもないパイプですが
どうも、モッズおじさんです。
そういう意味では悲運のパイプで 家族経営時代にレジェンドだっただけに企業化して良品作っても評価はされないっつー
昭和の伝説的ヒーロー・長嶋茂雄とその息子一茂を見ているようで… 結構良いパイプなんですけど.
パイプ探偵の推理から今回入手した Barling LONDON ENGLAND Garnet Grain は
Post Trans の中でも初期モデルってのは確実なんですが 正直喫味は…
悪くない
いや手持ちの 1910年製 Pre Trans Barling’s に肉薄するエアコントロールでして
例によって喫煙の話なんで
未成年者と禁煙ファシストとユーゲントは『続きを読む』はご遠慮ください。
諸説ありますが Barling’s が会社売却に踏み切った理由は 戦後空前の世界的喫煙ブームに
在庫の100年物以上の良質ブライアーを使い果たしてしまったから って言われてまして
ARメソッドを掛けてアイツんちの臭いを除去… コレはその第1回目. 最初の1発目でご覧の通り 試験官にはドロドロの
ヤニが出てきまして. 余りの汚さに3回目の煮沸でエタノールを交換しないといけない程だったんです.
材料が手に入らないならいっその事やめてしまえ って言ったとか言わなかったとか
なるほどアルジェリア戦争が1954年に勃発して材料確保は厳しくなってたようで。
って事で Post Trans のBarling LONDON ENGLND は確実に100年より若いブライアーで
産地もアルジェリア以外の所 でクオリティが落ち始めたようですが
要は Old Gowrie や St. James Flake のDunhill リボンカット版 って事で… 今のところ Robert McConnell でしか
手に入らなかった葉組が 満を持してPeterson (Dunhill) 名義で再版です.
どことなくアルジェリアンブライアーを思い出させる芳香があるのも今回手に入れた
Barling LONDON ENGLND Garnet Grain だったワケでして…気のせいかもしれないけど。
いや 先日Peterson が追加で旧Dunhill 銘柄から ELIZABETHAN MIXTURE と
DELUXE NAVY ROLL それに STANDARD MIXTURE が再版されたんで
言われてみればGBD 喫ってみるとGBDの喫味 オッペンハイマーとGBDは長年密月関係にあって GBDがココまで大量に
別銘柄パイプの生産を請け負ったのもオッペンハイマーの助力があったからこそ って背景を考えるとコレもまた…
その辺を詰めようか と画策してたんですがとりあえず無難な所で Latakia Mixture 1848 を
詰めて喫ってみまして。。。 ムムム… 手持ちのGBDとよく似た感じ。。。
オッペンハイマーが噛んでる生産体制だと GBD製品 って可能性は極めて高い
Barling’s の続き として考えるとがっかりする要素ですが
逆に言えばBarling Cross を背負うにはそれ相応の技術を持ったものじゃないと… って条件に適うのがGBDだったって事.
本当にGBDが手掛けたのかは不明ですが 日常使いでは贅沢すぎるクオリティなんです.
Pre Cadogan の70年頃までのGBDはアルジェリアンブライアーのストックを大量確保してたし
卓越した加工技術と相まって ひとつのパイプとして見ると秀逸 って事で
日常遣いのパイプとして定着 って事で一件落着。
間違って落札した割には 割と棚ボタだったワケですが
相変わらず似たようなパイプを落札しまして… 本当の事を言えば 別に誰かに競り負けてもイイや 位の気持ちだったけど
他に誰も入札せず ひとり勝ち状態. なにせ無名のパイプで オマケに出品表記間違ってたし で競合なしで落札.
また間違えて落札しちった… いやコレは3.000円でお釣りが来る額で落札したんですが
出品者様が DL Master と表記してたプラムカラーのパイプでして…
Old Master っつーんっすけど おっちょこちょいが Old England と勘違いしちゃう奴ですが
もちろんSasieni と勘違いせず入札したんです。
フォントで言えば OLD LONDON フォントで打たれた Old Master の控え目な刻印. UK/EU/US ではそこそこなの知られた
少々マニアックなパイプメーカーで Pipedia にも載ってません. 会社はラフバラーという学園都市に現存しているみたいっすよ.
Old Master De Luxe 73 っつーこのパイプは e-bay なんかではチョイチョイ見かける奴で
実は現行品でも Old Master Forign Made として売ってる奴でして。。。
もっとも手に入れたのは Old Master LONDON ENGLND と
少々年代は遡る いわゆる中古パイプなんです。
Barlin がCharatan’s やオッペンハイマーからデンマークに生産を移行したように このメーカーもコスト削減のために
海外に生産を移して今ではForign Made となっているけど 今回手に入れたのはMADE IN LONDON ENGLND と誇らしげ.
出所はっつーと ロンドン北北西のレスターとノッティンガムの中間にある
ラフバラーという街にある喫煙具工房・Gerald Grudgings & Company っつー
超ローカルな喫煙具店が作ってる奴で どうやら最近では海外生産に移行したけど
海外移行前のちょっと目に付く地元のパイプ って感じで 作りは結構丁寧なんです。
掘り出せばGBD っつー英国パイプ事情とさっきまでGBD見てた目に癖が残ってるせいもあるけど どうにもGBDに見えて来る
その可能性も否定できないけど 少々野暮ったくも見えるし 細かい所にGBDらしくない処理もあったりして…
前に触れた Mayfair パイプを思い出させるけど アレよりもっと郊外の臭いがする
少々野暮ったさも感じられるシェイプですが コレに入札した理由は 実はステムにあったんです。
実はコレ Twin Bore ツインボア っつって吸い口用の煙道が2本っつー
滅多に出ない変わり種 と思われがちですが
Old Master ブランドはご覧の通り 左右2本出しの煙道のパイプなんです. メジャーブランドのツインボアは残存数が少なく
市場に出たらコレクターが値を釣り上げる格好のアイテムで 喫う用になんか買えねえのが実情でして.
ツインボアは第1次大戦頃には既に出回ってて Comoy’s 等でも積極的に作ってた時期があって
何よりこの手の変わり種ステムは Hardcastle’s が得意とする分野だったんっすよ。
ところが各社が作ったツインボアは残っている個体が少なく軒並み高値で取引されてて
実際に喫うには少々高価なコレクターズアイテムになっているんです。。。
パイプやってると舌焼けが常々問題になりまして そのうち舌焼けした時の対策を紹介するつもりですが舌焼けは結構な関門で.
あたしゃあ三密で封じ込めより壇蜜の袋とじのほうが…小遊三です. あたしゃあ壇蜜より木下瑠音のほうが…
そもそもなぜ穴をふたつなんて… 掃除はメンドクセエし 詰まってもモールド通しにくいし
と思った方 大正解… 数あるパイプの中に1本あれば充分 無くても良い気もしますが
コレの存在意義は… ズバリ 舌焼け対策 です。
煙が口の中で左右に分かれて 舌を直撃しないから舌焼け回避できる ってのが誕生の理由でして
GBDより煙道が少々細いし リムにわずかなラウンドが施されていて むしろBen Wade のような素朴さ野暮ったさを感じる.
今回手に入れたパイプはDunhill Group 5 相当で 余り喫われてなかったらしく火皿は綺麗な状態だったんです.
結局は同じ目的で作られた Peterson Lip が競争に勝ってる現在ですが おもしれえから
1本持っておきたい で買ったんっすね。
もっとも今回手に入れた火皿のサイズは Dunhill Group 5 位なんで俺は自動でラタキア物
って事で Nigjtcap… 舌焼けとはさほど縁がない銘柄を詰めちゃうんですけどね?
驚いた事にReuben’s Charatan’s と同じ匂いがする… 迷う事無くアルジェリアンブライアー製. 期待してなかっただけに
完全に意表を突かれた とんだダークホースをまたまた手に入れてしまったようです. 何この引きの強さ.
っつー事で喫ってみますと… こ コレは… 持ってる Reuben’s Charatan’s と同じ匂いがする
出ましたアルジェリアンブライアー… 1965年にアルジェリア独立に伴い入手不能になった奴
って事は Barling’s のように50年代で終了ってケースもあるけど 1965年前後に作られた っつー
確たる証拠になるんですね。
元々ロンドンの工房だったのが今の土地に移って それに伴い外国の工房に委託生産ってシフトしたんっすかね?
完全無名メーカーなので謎ですが なんだかんだで優良物件でした.
Bewlay よろしくこちらの喫煙具屋さんも相当気合入りまくりだったようで 当時安価だった
とはいえ良質のブライアーを使ってて おまけにツインボアのお陰で舌に直接煙が当たらず
冷えた煙になって口腔内に広がるから まぁ美味しい事。
無名だけど良品 をまたまた引き当ててしまいましたとさ めでたしめでたし。
禁煙ファシストには こういう大人の楽しみがなくて 残念ですな。