2020年05月16日

A1110:推察… ヨーロッパのキャベンディッシュ



どうも、モッズおじさんです。


パイプと言えば Sherlock Holmes ですが 今回はどちらかというと事実を繋ぎ合わせて真実を導き出す Hercules Poirot に近い
灰色の脳細胞をフル活用した EUキャベンディッシュの『推察』です.






日本で一番売れているパイプ用タバコは Amphora Full Aroma だそうで

ヴァージニアとオリエンタルとバーレーのキャベンディッシュが上品な喫味で

… って また出ましたねキャベンディッシュ。

今回は エルキュール・ポワロ的な『推察』で EUキャベンディッシュを考えてみます…



例によって喫煙の話なんで
        未成年者と禁煙ファシストとユーゲントは『続きを読む』はご遠慮ください。



 



今回の話は いつもより憶測や推測の割合が多めですが 割とイイ線行ってるんじゃないか と。

まずはポカホンタスの17世紀 1600年あたりから話を始めましょうか。。。



チューダー朝の Virgine Queen として知られるエリザベスI世は 俺が四の五の言うより映画で確認してもらったほうが
手っ取り早いので割愛… QE I の時代にスペインの無敵艦隊を破って英国海軍が世界最強の軍隊に なったんです.






この頃はUS独立前後 UKはエリザベスI世統治期 で日本だと天下分け目の関ヶ原の戦い

と 思ったより昔じゃない… ジョン・ロルフが確立したUSタバコ産業は完全に 完っっっ全に!

ヴァージニア葉のUK独占に成功しまして UKはUSからの高額な船代を負担しても痛くも痒くもない程

ガッポリと儲ける事が出来たワケでして。。。



ここ1年ほど『食後の1服』は Samuel Gawith GOLDEN GLOW で 運転時には FULL VIRGINIA FLAKE で
朝は GROUSEMOOR が定着して
常喫ですが 1時間強時間が空く時は Amphora FULL AROMA 率が高くなってるんです. そのワケは…


A1110:推察… ヨーロッパのキャベンディッシュ



その理由はひとえに その蜜のような… 蜜だけじゃない 熟成によってミルクティーとも

キャラメルとも称される 上品な喫味に尽きるワケですが イギリス人ばかりでなくEU各国の

紳士淑女から平民に至るまで 多くの人々を魅了したんです。

要するに置いとけば黙っていても売れる 超人気商品だったワケですね?



ジョン・ロルフが手掛けたタバコ葉のプランテーションは18世紀になるとUS/UK ともに基幹産業として巨額の取引に発展
したんっすよ… 画像は18世紀ヴァージニア州のタバコプランターで 奴隷を使って樽にタバコ葉を梱包している の図.






この当時強国だったスペインとオランダは大英帝国の海軍に負けを喫してUKの次位の立場で

対等に渡り合えたフランスでは煙の出るタバコは下衆のもの として嗅ぎタバコがメインで

UK はタバコ産業ではまさに無敵状態で USが独立しても独占販売契約でヴァージニア葉をガッツリ押さえて

ガッポガッポと儲けていたんですよ。



18世紀はクレイパイプが主流で 細かく刻んだシャグが多かった と言われてますが 居酒屋的にSmoking Club が存在して
ワインや(アイリッシュ)ビールをやりながらタバコを喫う ってのがUKでは定番だったようでして.






そんな背景からUSではヴァージニア葉売りまくって外貨を稼いで 売れ残ったバーレー葉を

国内向けのタバコにしたのが USキャベンディッシュでしたが

EUではそこまで気軽ではなかったようで 美味しいヴァージニア葉が欲しいけど

欲の皮に突っ張ったUK商人どもから高値を吹っ掛けられて 泣く泣く言い値で仕入れてたワケでして。



ヒュッゲとは 日本語だと「まったり」と「ほっこり」が合わさったようなデンマーク/ノルウェー語で 癒しのオレンジの照明と
リラックスできる空間 それに見合った食事やスイーツや酒で EU諸国ではこういうの 必ずあるんですよ.






特にノルウェーからベルギー・フランスに掛けての民族は甘いものが大好きで

ノルウェーのライフスタイル Hygge ヒュッゲ では甘くて美味しいスイーツが絶対条件

っつー位 甘いもの好き好き民族だから UKからヴァージニアを買うんだけど

UK商人はズルをして 2級葉以下のクズ葉を1級葉以上の値段で売り付ける事も珍しくなかったようで。



フランス革命で王政が共和制に変わっただけじゃない フランスでは紳士淑女は煙を嫌って粉を鼻で喫う『嗅ぎタバコ』が
主流で パリの8割は嗅ぎタバコ屋 だったのが庶民のタバコだったパイプタバコが一気に取って代わったんっすよ.






1789年にフランス革命が起こって 庶民の象徴だったパイプ喫煙が嗅ぎタバコに取って代わると

ヴァージニアの需要はさらに増したようで UKとしてはウハウハ なんだけど

粗悪品を掴まされるEU各国にしてみれば面白くない けどそこはJohn Bull 商法

ボッタクリに文句言われたら英国海軍けしかけて 木っ端微塵に粉砕しちゃう



大英帝国の傍若無人ぶりは当時『東の龍』と恐れられた清朝(19世紀中国の王朝)にアヘン売るために国民をアヘン漬けにして
清の皇帝から文句が出たら海軍送り込んで完膚なきまでに叩き潰した っつー… 鬼 悪魔.






まさにゲスの極み で実際19世紀には世界の2/3を敵に回してた っつー程で

20世紀に入るまで 国内経済と国際貿易のルールってのは確立されてなかったから 無法地帯だったんです。

っつー事で EU はそのまま泣き寝入り… とはならず 粗悪品だったとしても高価なヴァージニアの

喫味を整えるために 甘いもの大好き民族の馴染みのスパイスに着目しまして。



日本では「ベルサイユのばら」のお陰で悲劇のヒロイン的に人気ですが本国フランスではパリス・ヒルトン的な扱いの
マリー・アントワネットは フランスのスイーツ発展に大きく貢献した功績も あるんです.






実は 間接的ではありますが EUでは悪名高い マリー・アントワネットが絡んで来るんです。

ルイ14世の妃として 庶民を絞り上げてこの世の贅沢を全て味わった っつーアントワネットは

国民に命じてより美味しいスイーツ つまりお菓子のレシピを散々作らせたんです。

で その当時南米から持ち込まれた ヨーロッパでは未体験のスパイスが世を席巻しまして



南米やアフリカの赤道付近に自生していたバニラは ヨーロッパのお菓子文化に革命をもたらした… バニラ無しでは
なんにも作れないほど 人々を魅了したんですが そのワケは…






それが バニラ なんですね。。。 日本人にとってスパイスって辛いモノってイメージ

だけど 本来スパイスって言葉は味と香りにアクセントを付けるモノ全般を指すそうで

EUのタバコ・ブレンダー達はヴァージニアのミルクティーのような喫味や

キャラメルのような喫味を バニラの力を借りて補強しようとしたんですね。



ソースに浸す前に蒸す… コレがUSキャベンディッシュとの大きな違いで タバコ葉の芳香を損なわず ソースが良く沁みる
EU タバコブレンダーの職人技 ですが 関東のウナギのかば焼きも 蒸してからタレに漬けて焼く と一緒ですね.






そのために粗悪品を高額で掴まされたヴァージニア葉と カサ増しと芳香の更なる補強で

バーレー葉を蒸して 葉の気泡を開けた所にバニラのソースに漬けて しっかりと芯まで浸透させて

からの圧縮… で かなり上級ヴァージニア葉の喫味に肉薄するタバコ葉が完成する。

コレが EUのキャベンディッシュ なんですね。



法律で禁止して品質の誤魔化しを取り締まってましたが UK ではSamuel Gawith PERFECTION と GROUSEMOOR で
着香していますが 法律施行前のブレンドと 零細メーカーながら実績から品質が信用されていたから でありまして.






バニラがヴァージニアの補強になる ってのは結構知られた事らしく UK でも粗悪品を

バニラに漬けて上等なタバコとして騙して売ってた過去があったらしく UKでは最近まで

着香物のタバコの生産を法律で禁止していたんです。

John Bull 商法は 自国内に対してもえげつなかった って事実の裏付けになる話ですが



何故着香物にバニラ味が多いか の謎は完全に溶けましたね?ヘイスティングス君. 高級ヴァージニア葉を再現するための
EUタバコブレンダー達の努力の結晶が Amphora で開花したワケです. そう考えながら喫うと… Bon.






20世紀になると早速 トルコとその周辺のタバコ葉 いわゆるオリエンタルが注目されて

それまでのEUキャベンディッシュに加えると 更にヴァージニア葉の喫味に肉薄する と

完成したブレンドが Amphora だったんです。。。

その後 EU諸国はアフリカやアジアの植民地に自国のヴァージニア畑を所有するようになって



EU発のストレートヴァージニアは 19世紀からの帝国主義によって自国(植民地)生産ヴァージニア葉で可能となりましたが
製法はEUキャベンディッシュをベースにしてるようで お菓子の喫味が 残るんです.






EUオリジナルのストレート・ヴァージニアを作るようになった。。。と。

そうなると EUキャベンディッシュはお役御免になりそうですが さにあらず

更に深みやコク 苦みを加えるために乾燥させたブラック・キャベンディッシュや

敢えて圧縮しないキャベンディッシュ っつーバリエーションに発展しまして



敢えて行程を省く代わりに黒くなるまでよく火を通すブラックキャベンディッシュの登場で 喫味のバリエーションが広がった
EUタバコは 華やかな社交界からヒュッゲ的な時間まで 広くカバーするようになって とうとうバラの花びらまで.






着香もお菓子の時間や飲む酒の味によく合う喫味の チョコレートやオレンジや

果てはラムやキュラソーやブランデーなどを香料として加えるようになって

まさに Hygge のお供 的なタバコ葉が生まれて現在に至る… と

今でこそ 軟派な感じの甘いだけのタバコ ってイメージですが



パリ警視庁の優れた推理力持つ敏腕刑事 ジュール・メグレ警視 はパイプスモーカーですが 十中八九 EUキャベンディッシュ派
と思われる… 名探偵コナンの目暮十三警部のネタ元で イギリス版ではMr.ビーンがシリアスに演じてます.






生まれも育ちも結構ハードボイルドで 暴利を貪る悪徳商人への反骨心と職人の根性で

成り立っていたものだったんっすね。。。 その片鱗が Amphora のパッケージに記されてまして

「繊細な香り、その複雑なミックス、これはバージニア葉がもともと持つ味と香りに
インスパイアされたものです」

。。。 なるほどね。



なるほどヴァージニアでは ない… けど 確かにイエローヴァージニアやブラウンヴァージニアはこんな感じになる
を再現している… バーレーのお陰で軽いけど 火付きも火持ちも良好で 結構見直しました.






キャベンディッシュっつっても 色々と歴史があるな と改めて Amphora FULL AROMA を

喫ってみると… なるほどストレートヴァージニアを思い出させる喫味で

改めて そうかこのブレンドはこうやって喫うモノなんだ と納得しつつ

コレが一番売れてる っつー日本人のセンスの良さに なんか 嬉しくなるんっすね。



禁煙ファシストには こういう大人の楽しみがなくて 残念ですな。


 



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Posted by モッズおじさん  at 22:39 │Comments(2)大人の趣味 パイプタバコの話

この記事へのコメント
コメントしまくってすみません。
なかなか面白いですね。
アンフォラと言えば古代ギリシアの陶器ですね。
以前古代ギリシアの陶器を勉強したときにいくつかスケッチしました。
中途半端で終わったのでまた古代ギリシアの陶器の勉強をしたいと思っております。
受動喫煙だと強く言って国は色々としたようですが、
かえって肺がんが増えているはおかしいですね。
ちなみに私は年齢的に喫煙できませんが、禁煙ファッショじゃないですよ。
ただ、タバコと聞くとヒッチコックの鳥でガソリンスタンドが大惨事になる場面を思い出しますが悪しからずです。☺
Posted by コメント爆撃機B-29(Besharing B-29)) at 2021年05月20日 22:00
>コメント爆撃機B-29(Besharing B-29))さん

コメントありがとうございます。

一応他の人も閲覧してるから一応明記しときますけど タバコの記事だから20歳未満の閲覧はご遠慮願っています。タバコの話は既に喫煙を嗜んでいる皆さん向けの話題で 決して未成年並びに非喫煙者に推奨する目的のものではありません。

と。。。法律に疑問を抱く事もあるでしょうが ソクラテスの『悪法も法なり』という事で 法が有効な限り従わなければならない。大人になると楽しい事も多いけど 同じ量位のメンドクセエ事も多いんです。そこを受け止めて対処するのが『責任』という奴でして。責任から逃れようと逃げ回る『年齢だけ大人』なのがやたら目に付いてうんざりする昨今だけどね?

責任の範疇で 一応表記しときました。ご理解とご協力をお願い申し上げます。

歴史の中の嗜み からインスピレーションを得てくれていると 書き残した甲斐があった と安堵するんですけどね?こちらとしては.


 
Posted by モッズおじさんモッズおじさん at 2021年05月21日 11:26
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