2017年04月24日
A354:the ‘Mk. 1’ が高くなる理由 暴露します
どうも、モッズおじさんです。
春になったんで 来客対応で玄関先での作業です 本当はもっとマイルドなフレーミング処理にしようと思ってたんっすけど
仕上がりがあまりに美しいモンっすから… 良く焼きフレーミング 続行です
今日は日曜日なんで 10:00~20:00 でショールームやってました。
っつー事で毛馬内は春 だけど桜の開花が遅れてて 渓流シーズンもまだだなぁ…
って感じなんで 今日は事実上 the ‘Mk. 1’ 専用のケーンのフレーミング処理を行いました。
もちろんコレをやる事自体 コストアップに繋がる『ひと手間』なんっすけど
油分と水分は熱せられると 外に出ようとします 断面とかの逃げ場があればそこに集中して出て来るんで こういう泡が湧くんっすね
焼いてるとメンマ焼いてる 的な美味しそうなオイニーが… スズメが集まりました
1本表面焼き入れに1時間程度… 時給にして1.000円も貰えば御の字どころか万々歳なんで 大した事ない。
ところでこのフレーミングのメリットってのは 水分と油分を飛ばして反発力が増す なんっすけど
焼き入れしてるとリアルにパワーファイバーの隙間から水分が泡になって 湧いて来るんっすね。
外へ逃げ場のない部分だとどうなるかっつったら
切り口から遠いと 油分と水分は節を中心に表皮から出ようとするんっすね で こういうササクレ状態になります
これらはウェスで拭き取っちゃうんで 何の問題もありません
表皮を破って出て来るんっすね。
大抵の場合 ココまでやるとやり過ぎ って判断になるんっすけど the ‘Mk. 1’ ではこれ位を基準にしてます。
で、ロッドビルダーなら誰もが悩むのが ケーン表面のシミと傷 で
「漆を塗るとシミが誤魔化せる!」と大声で言ってるアマチュアビルダーさんもいますけど
たいていのケーンには こうやってシミや傷があるモンです コレもたいていはスクレッピングで除去できるんっすけど
極力表皮を残そうとすると こういうのが残っちゃうんっすね
漆は当然誤魔化すためのアイテムではないし 褪色のお陰で1年以内には目立つようになっちゃうんっすね。
フレーミング処理は焼き切っちゃうから誤魔化すもヘッタクレもない 完璧な処理だし
POLANO の場合表皮はほぼスクレッピングで除去しちゃうんで
よほどのシミでない限り 完全除去されるんっすね。
6分割はナタ割で 熱処理で竹が広がるんで6分割竹割器が使えないんで 時間は掛かります なんでも価格ってのは原価と
販売利益それに技術料が乗っかってくるワケで… この作業は オマケできる範疇の奴だけどね?
フレーミング処理が終わって竹を冷ましたら 今度は竹割です。
従来なら6分割竹割器で一瞬で終わりの作業ですが 熱を加えてケーンが広がって
均等な6分割が困難になるんっすよ。
っつー事で竹割ナタで6分割するんっすね。
コレだけでも充分 ウチの玄関の建築材に使えそうですね 基本的には杉化粧焼つまり焼杉と同じ要領なんでフレーミング自体は
施工料としては価格にあんまり影響されないんっすよ 専用の白マーカーも込みで
時間にして本当たり6倍強の時間が掛かるんっすけど 30分もあれば出来ちゃう。。。
時間給にして500円程度なんで 価格に乗せるにしてもタカが知れてますね?
でトップとバットの6分割が終わったらまた半分、からのさらに半分… でしたね?
ところがココで the ‘Mk. 1’ が値上がりする理由が 判明するんっすわ。
カラッカラの乾燥材からさらに水分と油分を飛ばす作業をすれば 確実に火が点くワケで… 熱して内圧が上がる事を避けるために
設けた割目は燃える可能性が高いワケでして…
っつーのもフレーミング処理では最初から割れているケーンを処理するのが理想で 割れてなかったら割っときたい
っつーのも節間の空間に熱の逃げ場がなければ 作業中に大爆発してしまうから。
で、バーナーを充ててると モノが乾燥材なだけに どうしても割目のどこかで焼けちゃう部分が出て来るんっすよ。
こうなるとどうにもこうにも 再生・再利用は不可能。
当然割目の面は燃えるもの と割り切らないとこの作業は出来ねえだろうなぁ… コレを24本スプリットしてから焼くと
全てのスプリットにこういうリスクが付いて来る するともっと高くつく事になりかねない と
こうなると24本のピースが取れるのに 最悪20ピースしか使える所が残らない。
単純計算で2pcs 1top で4本作れる けど2pcs 2top だから2本作れる計算
だけど4本足りなくなるから 1組のケーンで1本分しか作れないんっすね。
もちろん残ったケーンピースで 別の竿作ったりは しますけど
っつー事で なんとか24ピースにスプリットしましたが 4本のスプリット・ケーンは焦げて欠けが生じて使い物にならない
っつー事で the ‘Mk. 1’ は1本分しか取れません… コレが 値上げの一番の理由なんっすね
とっても贅沢なケーンの使い方をするんで その分価格に反映されちゃうんっすね。
っつー事で一応24分割は完了しましたが 実際に使えるのは20ピース×2 だけ。
そもそもギャリソンノード自体が贅沢な節ずらしなのに
今の所 POLANO で最も贅沢なロッド ですね。
おそらく今後も こんな贅沢なロッド超えて来る奴 作らないだろうね。