2019年07月17日

A938:割と真顔な パーツ開発の話



どうも、モッズおじさんです。


まぁまぁ趣味でクラフトやる人にとっては こういう出来合いのパーツを貼り合わせるだけでロッドが出来るんだから
竿作りなんてチョロい と思われがちなんですが POLANO ではそんな安い仕事してねえぜ をアピールさせて頂きます.





今日は平日なんで 12:00~19:00 でショールーム開けるんですが 諸事情でお休み頂いて

明日は 12:00~19:00 でショールーム開ける予定です。

さて 本日はもうチョイ突っ込んだ製品開発の話を 試験的に紹介してみます。

要するに POLANO は単純に既製品を買って貼り合わせて っつープラモ的に竿を作ってるワケじゃない と



化学樹脂はエポキシに代表される 2つの化学物質の化学変化を利用して固着させる 場合によっては接着させる樹脂の総称で
既に練り込んである1液性と決まった比率で混ぜる2液性があるんですね.






紹介できるのはごく一部なんっすけど… 釣具業界、すぐパクられちゃうからね?

っつー釣具業界コンプライアンスについてはさておき 耐熱特殊樹脂ってのが世の中には多々ありまして

人によっては耐熱性能を利用してパイプの過燃焼修理に利用したりするんっすけど

熱する事で発生する化学物質については 化学樹脂メーカーは特に触れる事がないワケでして



とりあえず実験くん的に型に流し込んで固着させてみます… 発酵する事で固着する漆と違って練った時点で酸素が取り込まれて
硬化が始まる2液性化学樹脂が 本当に硬化するか等 諸々の塩梅を見るんですね.






飲食まで行かないまでも口に入れる 肺や経口で養分を吸収する喫煙行為では不安要素になるけど

接触つまり握る事で問題は発生しない っつー化学樹脂を選んで試作品に着手したのは一昨日の話。

POLANO としても炎天下の自動車車内で釣り竿の放置はしないで下さい と言っていますが

普段は遵守してるのに たまたま1回だけ放置してしまった やっちったぁ… って事はあり得る事でして。



POLANO 最初の話題作の「1度使ったら手放せなくなる」 the ‘MISTY MOUNTAIN HOP’ で 総漆のグリップを採用しているのは
ワームが付着して溶けるのを未然に防ぐ対策 だったりするんです… トラウトルアーロッドなんだけどね?






一般的な化学樹脂だと車内の熱で変形したり溶け出したりするものがほとんどで

バスフィッシングやってるとワームで溶けたり っつーのを仙台の中野さんがカスタムで作った

ショップオリジナルのリールシートで発生しちゃった って過去の事例もあるので

POLANO では最近やたら増えている耐熱樹脂ってぇ奴を使ってみたんです。



1日置いて型から取り出したのがコレ… 漆で型取りの実験で使用していた型をそのまま流用したからへばりついてた漆が
そのまま樹脂表面にへばりついて 正直失敗だな と思わせる見た目形状になってしまいました…






で 昨日硬化が完了して型から取り出していみたんですが どうやら型が貧弱だったようで

少々いびつな形に… コレは型自体を木型で組んでしまえば解決する事 なので改善は容易。

剥がす際に少々難があったけど コレは漆で型取りした型を流用する際 こびりついた漆の仕業なので割愛。

と。。。どうやらクリアできそうな問題だけですね パッと見は。



どうやら型そのものにもいくつかの問題があったみたいで 漆の実験で使い倒してボロボロになってた ってのもあるけど
柔軟なシリコン製っつー事で 持ち運びにちょっと摘まんだらその影響が出る… 専用の固定器具が 必要.






ただ POLANO としては誤魔化しが効かない製品作りを主眼に置いているんで

巷に溢れる「表面だけ本物の漆を塗ったニセ漆器」を作るのはご法度 なんですね。

それこそ 漆の事なんかなんにも知らない人でもすぐ「コレは化学樹脂なんですね」と分かるような

客観的事実が欲しいワケでして。。。それがクリアできなければ製品化は難しいんっすね。



計測してみると… 24g. バリも取らずでの計測値ですが 重量感はあります. 中空加工を施せば軽量化が望めますが
果たして軽量化に意味があるのだろうか っつーのも…






と コレが意外なほどあっさりと解決しまして。。。型から取り出した耐熱樹脂は比重が大きく

24gある。。。

コレは少々意外な結果で ロッドビルディング時にパーツの重量変更は結構致命的なんだけど

重心計測の支点に当たる部分のパーツなので コレに限って言えば問題は無い と判断。



漆リールシートスペーサーは13g … ロッドを持った時 10gの差は非常に大きく 今日釣りを始めますっつー素人さんでも
手に持って持ち比べたらすぐ分かる重量差 なんですね. 敢えて誤魔化しが効かないほうを選んでおくっつー…






対して 上位機種で継続採用する 全部漆で作っている漆リールシートスペーサーの重量は

13g。。。

およそ10gの重量差は 素人目にも手に取ればすぐに分かる露骨な差なので

中空加工などの追加作業は一切行わず このままソリッドで作製を続行する事にしました。



品行方正真面目な商売やってます… と言いたい所ですが誤魔化しが効かないように仕上げるのは 上位機種の品格を保つためで
さもないとウチの高い竿 買う意味が分かんなくなるでしょ? っつー商売人根性から 来てるんですね.


A938:割と真顔な パーツ開発の話



っつー事で 事実上 il ‘MIDGET’ だけ漆リールシートスペーサーを継続採用して残りのグレードは

順次 化学樹脂リールシートスペーサーに切り替えていきます。。。

表面をヤスリ掛けをしてみたら 結構イイ感じになったんで 手順を整えてフォーマット化して

近いうちに製品としてお披露目する日が 来るでしょう。



多分黒漆で仕上げるから パッと見は判別し辛いんだけどね?


 



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Posted by モッズおじさん  at 22:36 │Comments(0)工房の話

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