2016年05月31日
POLANO のロッド設計思想 US Action とFrench Action
どうも、モッズおじさんです。
今日は2時間強やってキャッチできたのはこの1尾だけ フライのピックアップ寸前にコソッと食らい付いてきたヤーツ
雹の氷水が流れ込んで急に活性下がってますね
昨日の雹のおかげで水温下がってサカナの活性落ちてんだろうなぁ。。を確かめに今日の午前中に行ってきたんっすよ。
やっぱ渋かった…2時間半ほどで3アタック1キャッチっすよ。
で、今日みたいな日はウェットに切り替えたほうが釣れるんだろうけど
前にも言ってる通り the ‘Mk. 1’ はウェット向きのロッドではありません。
POLANO the ‘MK. 1’ はDT4指定…北東北のやたら元気過ぎるヤマメに対応するため というワケではなくてアクションを考えて
わざとDT3ブランクにDT4を乗せているんっすよ
。。。ネットにロッド晒してもなかなか伝わらないのがロッドの『アクション』という奴ですね?
買う立場から言うと一番肝心な所なんだけど、言語に起こして伝えるのが難しい奴。
俗にFast とか Medium とか Moderate とか Slow っつってる奴で言えば
POLANO the ‘Mk. 1’ はMedium Fast の部類に入るんっすよ。
ORVIS のカタログより… 結構細かい表示分けをしてて一部ロッドビルダーも採用してたりするんっすよね
これ使うと分かってらっしゃる『通』みたいな空気が流れるけど 普通は通じない奴っすね
蛇足ながらこのFast だのModerate だのっつーのは、実は統一した基準や総称ってのがなくて
メーカーによって呼び名も基準もバラっバラなんっすよ。
G-Loomis なんかではSlow と言わずにModerate だと思えばOrvis はFull Frex. だったり
ラインの号数やフック(針)の番手みたいにカチッと決めてくれると、伝えやすいんっすけどねぇ。。。
SHIMANO のバスロッドは単純にFとS ミラクルジムの提案で小中学生からおじいちゃんまで分かりやすい表記を
っつー事でこうなったらしいっす
SHIMANO に至ってはFとSだけで片付けちゃってる場合もあるからね?
POLANO では使用用途から『掛け調子』『乗せ調子』って言う事が多いけど
正直コレだけじゃフワッとしか伝わらない。
もちろんそれなりに複雑にバランス考えて組んでるけどね?
今回のネタでは便宜上この呼び方で話を進めさせていただきます the ‘Mk. 1’ はMFアクションなんだけどニンフも行ける
何故ならModerate になるように設定してあるから なんっすけど…意味わかんないでしょ?
っつー事でこのネタの中では仮設定として Fast/ Moderate-Fast/ Moderate/ Slow としときますけど
この言い方だとPolano the ‘Mk. 1’ はModerate Fast Action って事になるんっすね。
でもコレだけじゃ、なぜ『掛け調子』でウェットは向かないけどニンフは行けるんだ?の
説明にはなってないんっすよね。
っつー事でブランクについて相当コアな事並べますんで、興味のある方だけ「続きを読む」に進んでください。
自分でロッド組みたい人にとって結構キモな話に繋がって来るんっすよ。
ただたいていの場合こんな情報持っててもムダムダ情報で終わっちゃうんっすよ。
なにしろブランクを設計する人のための発想の話ですからね。
ヨーロッパのロッド発展の歴史から こういう3タイプのブランク設計理念が生まれているんっすわ 日本のブランクは
US Action が基盤になってるんっすよ 昔はアメリカの影響力って絶大だったからね
FFやルアーのロッドに狭めた話っすけど、基本的には US Action/ UK(British) Action/ French Action の
3タイプが基盤になってるんっすよ。
で、日本のブランクはほぼUS Action とFrench Action なんっすね。
British Action っつーのは実はUS にもFrench にも近づけられるっつーややこしい奴なんっすよ。
the ‘Mk. 1’ はE. Garrison 193 テーパーデータを採用してるので100 US Action なんっすけど一筋縄ではいかない調整で
日本のイワナ/ヤマメに対応したロッドを狙って作ったんっすよ
っつー事でBritish Action については後々語る事にして、まずはブランクに設定する『ウィークポイント』
2つ上の図にあるC若しくはC’で丸っと囲まれてる箇所っすね。
コレもココだけの仮設定として『ウィークポイント』と記しますが
US Action の場合ティップからバットまでのどの位置にウィークポイントを置くかがキモなんっすよ。
アメリカ4大釣り具メーカー・G-Loomis カタログより… FFではロングキャスト・ルアーではBig Oneを引っこ抜くために
強靭なバットが好まれる…っつー事でSlowでもバットが残ってModerate になるっつー
G-Loomis のカタログに表記されてるベントカーブ表を見れば分かりやすいけど
US Action って言うのはバット部分に必ずゴボウ抜きできるだけのパワーを残すんっすよ。
ウィークポイントってのはロッドが動く(しなる)起点なワケで
ティップ側に近ければFast、バットにずらしていけばModerateとかSlow になるっつー
![]() イエローグラス YELLOW GLASS-3 FF724-4J <フェンウィック fenwick> |
そういう設計をしてるんっすよUS Action は。
もちろんウィークポイントってのはロッドが動くだけの弱さを与えれば十分なんで
気を付けないとそこからすぐ折れちゃう、って意味じゃ、ないからね?
US Action のキモっつったら、最後の最後まで強靭なバットを残すっつー設計思想なんっすよ。
weak point を強制的にバット側にずらしてキャストタイミングを取りやすく ティペット切れを防ぐセッティングに
反面絶対的飛距離は落ちるけど渓流ロッドなので20m飛ばせれば十分と判断したんっすわ
っつー事で POLANO the ‘Mk. 1’ は典型的なUS Action のロッドなんっすけどチョイと技を入れている。
本来DT3適性のブランクにわざとDT4を乗せる…FFラインは数値が上がれば重量は重くなる
っつー事は適正以上の負荷がブランクに掛かって
ウィークポイントが適正よりバット側に移動するんっすよ。
コレはプロトタイプの the ‘MISTY MOUNTAIN’ 超ショートロッドなだけにタイミングの取りやすさとティペット切れ対策は絶対
お陰様で1度振った方は1本欲しくなるロッドに仕上がりました
そうすると絶対的飛距離は落ちるけどより手元でキャストフィールを感じる事が出来てラインコントロールが容易になる
ばかりでなくヒットを吸収するティップ総体積が増えるからラインブレイクが軽減される
っつー実釣効果を狙って敢えてDT4設定、なんっすね。
それを4ft06in に思い切り縮めたのが the ‘MISTY MOUNTAIN’ なんっすよ。
渓流バーサタイルFFロッドとして組んだんっすけど ウェットだとバットパワーが災いして弾かれちゃうのは予想外
実は心のどこかでウィークポイントをずらせば問題ないんじゃないかと思ってたんっすよ…甘かった
キャスト時にはModerate だけどサカナを掛ける時はModerate Fast
オマケにニンフでティペットに掛かる水圧も吸収してくれる
っつー所までは良かったんっすけど
ウェットではバットパワーが災いして弾かれ率が高まっちゃうんっすね。
Orvis HENRY’S FOLK でウェットやってみるとこの通り バットのパワーが強すぎて流れのテンションが掛かると
ブランクに余力がなくなって弾かれるっつー… コレがUS Action の思わぬ限界点なんっすよ
US Action だとバットパワーがアイデンティティだから『宿命』みたいなモンなんっすけどね。
それはOrvis 屈指のパラボリック、と言われているHenry’s Folk でも同じ事が言えるんっすよ。
じゃあウェットにはどういう竿がイイかっつったら。。。
真っ先に思いつくのがバットパワーを極力排したSuper Parabolic っすね。
![]() Pezon-Blanks LaLoue 2pcs 8645-2 <nca ノースカントリーアングラーNorthCountryAngler> |
強靭なバットパワーを設定しないからウィークポイントの設定も発生しない
和竿では究極と言われる満月のように淀みなくしなる竿、って事っすよ。
でもそんな竿でサカナ寄せられるの?…
ブランク全体を重く太くすれば良い…コレがFrench Action のキモっすね。
PEZON Super Parabolic はKen Sawada氏がぞっこん惚れ込んだ完璧なまでのSuper Parabolic 淀みない満月に
しならせるためにバット部分が一部逆テーパーに削られているっつー伝説の竿 なんですが…
それがSHIMANO のFreestone FS であり、PEZON であり、KEN SAWADAやCaprasなんっすね。
SHIMANO はX-Bias っつー特殊な製法なんで例外として
PEZON はDT7やDT8適性のブランクをDT5用として指定してくる
そうやってブランク全体にパワーを与えてるんっすね。
正直PEZON とKen Sawada/ Capras の中古価格は二束三文 良し悪しで言えば決して悪い竿ではないんっすけど
Super Parabolic は理解してくれないと裏切られた感が強く出ちゃうんっすよ
いわゆるサワダ派の人は文章で説明できなくても「パワーがある」と体感で理解してるんっすね
と同時にFrench Action は決して万人受けする代物ではない、とも言えるんっすよ。
っつーのも渓流ロッドのように適正番手以上のパワーを与える必要のないロッドだと
ペナンペナンなだけで扱いに癖があるロッドになる…SHIMANO のFreestone FSみたいに。
ある意味British Action の最高峰・Hardy the ‘Wye’ 振ってみるとParabolic?Moderate? なんっすけど いやいやいや…
ココにはこっちの予想を超えて来る職人魂の権化のような理論が詰まってるんっすわ
っつー事でココまでが日本の一般的なロッドの話なんっすよ。
じゃあBritish Action っつーのは。。。もちろんウィークポイントをど真ん中に
持ってきただけのロッドとは違うんっすよ。
キモは「US Action ほどバットの強靭さを残す必要はない」。。。なんっすね!
British Action については後々話すこともあるでしょうが、今回はこの辺で。