2015年12月14日

529:漆の話(ニセうるしは除く)



どうも、モッズおじさんです。


固着待ちのグリップ達 漆は水分の蒸発じゃなくて酵素の発酵で固まるから厳密には乾燥とは言えないんっすよ
漆を塗るなら漆専用の室(ムロ=固着室)を漆に快適な温度湿度にするんっすね


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今日は平日なんで15:00~20:00でショールームやってます。

さて。。。体力回復してきたんでグリップやブランクの漆塗りを行ってるんっすけど

よぉく考えると。。。釣り竿に漆塗りって、江戸時代から既に施されてるモノなんっすよね?

江戸和竿も紀州竿も庄内竿も仙台竿も、ぜーんぶ漆塗りっつー。



漆を塗るのは実はそんな大変じゃない 埃に気を付ける・ムラにならないように はたいていの塗料でやる事だけど
漆は漆専用の刷毛を使う…道具がいくらでも助けてくれる典型っすね


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っつー事で今回はPOLANO の看板技術・漆塗りについてチョイと能書き垂れましょっかね?

よくお店に来られる方は「塗るの大変でしょ?」っつーんっすけど…市販の刷毛を使ってたらね?

プラモデル塗るみたいな奴だと必要以上に刷毛が漆を吸っちゃうし毛もバッサバサ抜ける。

挙句中より表面のほうが早く固着して収縮するからチヂミっつー現象が起きちゃうんすよ。



手持ちで一番高い漆刷毛最高峰・泉清吉本通し3分 パーマで痛む前の日本女性の髪の毛使用の奴は15.000円
手入れは当然椿油等で保湿します


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だから漆には漆専用の刷毛を使うんっすね。

コレが持ち手の中で1本の長い毛が束ねて納まってるから、抜けないの。

じゃあ何の毛かっつーと…一番最適なのが人間の毛なんっすよ。

実際漆刷毛の普及版は中国の女性の毛が主流なんっすね。



手持ちで一番細い1分刷毛 中国人女性の毛を使用してても4.000円 スレッドを塗る時に使ってます


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でも最高級品は昭和30年代頃の日本女性の毛で、程よいしなやかさと強度を持った逸品なんっすね

。。。と漆刷毛を揃えて数をこなせばたいていの人がそれなりに綺麗に塗れちゃうんっすよ。

でも漆塗りで本当に難しいのは。。。塗りなんかより磨きの工程なんっすね。

いわゆる鏡面仕上げみたいな奴なんっすけど



長い伝統に培われた漆器職人だと塗りから仕上がりまでのフォーマットはある程度できています が個人レベルだとそれが定まらない
どういう竿を作りたいか どういう竿に仕上げたいかがすべてのカギになるんっすよ


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漆器の場合その艶と照りを出せるまで磨くんっすけど、釣り竿の場合ビルダーのブランク被膜の厚さを考慮しないと

せっかくのブランクが思い通りのアクション(反発力)に仕上がらないんっすわ。

仕上げの被膜の厚さ次第で塗りの回数が決まるし、磨く手順も決まるんっすけど

こればかりは文章でいくら列挙しても伝えられない部分なんっすね。



POLANO の場合は素のブランク特性をできる限り損なわずにブランク保護できる被膜 っつー発想なんで
理論的に薄塗に仕上がる摺り漆で仕上げてます 江戸和竿の手法っすね


529:漆の話(ニセうるしは除く)



有名な所では川面漆器さんのロッドはその伝統に従って基準が決められるけど、個人ビルダーのレベルじゃ基準が決まらない。

それは逆にただ塗ってあればイイ、ってのから相当追い込んだ基準点まで

ビルダーが決定するべき条項、でもあるんっすよ。

POLANO ではソリッドグラスからバンブーまで細かい規定を作ってますけど



極力薄く、ブランクの素の特性を損ないたくない、が採用の理由だからね?


 



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Posted by モッズおじさん  at 16:20 │Comments(0)工房の話

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